名古屋高等裁判所金沢支部 昭和28年(う)286号 判決
憲法第三十八条第三項及び刑事訴訟法第三百十九条第二項の規定は、共同審理を受けて居ない共犯者の供述を、唯一の証拠とし、これに基いて犯罪事実を認定することを禁止するものでない。従つて、斯る供述であつても、其の証拠価値が十分と認められるに於ては、これを唯一の資料として事実を認定しても、該措置に何等の違法不当が存しないことは言う迄もない。原判決が判示二の事実を認定するに当り、共同審理を受けて居ない共犯者であるところの、松本伊作に対する検察官作成供述調書の謄本を唯一の証拠とし、これに依つて当該事実について、有罪の認定を下したものであることは、所論の通りであるが、斯の如き事実認定の方法も違法でなく、前記供述が証拠価値を十分に備えたものであることについては、既に他の論旨に対する判示部分に於て、説明した通りである。
(後略)